Chroma 11090-030 RF LCRメータは、SMDチップインダクタやRFフィルタなどの受動部品の高周波測定および評価ソリューションを提供します。測定周波数は300MHzにも達し、POLや一般の小型DC-DCコンバータのようなインダクタに対し、日々増え続ける公称周波数測定だけでなく、超高周波でしか検出できない品質異常のニーズも満たします。さらに、EMIフィルタやフェライトビーズなど、よく使われる100MHzインピーダンスの測定ニーズも満たします。
Z、θz、Y、θy、R、X、G、B、Ls、Lp、Cs、Cp、Rs、Rp、D、Qなどの測定パラメータやさまざまな受動部品の測定に必要な一次および二次パラメータをカバーしています。100kHz～300MHzの広い測定周波数レンジは、RF電流電圧変換技術を採用しています。ネットワークアナライザ技術よりもインピーダンス測定レンジが広く、オートバランシングブリッジ技術よりも周波数測定レンジが高いため、研究開発部門や品質保証部門でのさまざまな周波数による受動部品特性の解析に適しています。さらに、超低ノイズ、低高調波歪みの信号発生モジュールを搭載。高品質の測定信号が得られ、インピーダンス試験の精度が向上します。
0.8%の基本測定精度で、安定性と信頼性の高い測定結果が得られます。0.5msの高速測定は自動化された機器と組み合わせて、効率よく生産性を大幅に向上させることができます。各種小型SMD測定治具に対応し、改良されたプッシュダウン作動方式を採用しているため、90度回転させることができ、わずか3ステップで被測定物を交換できます（実際の測定時間は約40秒）。寸法の異なる被測定物を交換する時間が短縮され、測定速度が加速し、デバイスガイドの脱着を繰り返す必要がなくなるため、摩耗や顧客のメンテナンスコストも削減されます。
Chroma 11090-030 RF LCRメーターは、全面的な設計と重点的な機能強化により、製品特性の研究開発と分析、自動化された生産ラインでの迅速な測定、さらには部品の出入管理においても完全なテストソリューションを提供しています。市場において、既存の解決策以外の新しい選択肢をご提供いたします。
高周波小型パワーインダクタは多くが金属モールドタイプです。しかし、①元の磁性材料の不良（金属粉が大きい/酸化鉄皮膜不良）、②インパルス巻線試験後の局所的な酸化皮膜の破壊、③コイルエナメル絶縁の破損による磁性材料との直接接触などは、いずれも品質係数（Q）の低下を招き、その後の使用で過熱しやすくなります。これら3種類の異常を検出するには、一般の公称周波数測定の状態では、インダクタのインピーダンスが低いため、Q値の多くがプローブの接触抵抗に影響されます。
測定周波数を高くしてインピーダンスを上げ、プローブの接触抵抗の影響を低減することで、磁性材料や電線の絶縁体の異常検出率を高めることができます。この方法は業界で広く採用されています。
磁性金属粉末の多くは表面に酸化皮膜処理を施して高周波交流による渦電流損を低減するために、使用可能周波数帯域を広げ、損失や温度上昇を低減しています。一般の使用者は外観から磁性材料の顆粒の大きさや圧縮成型・焼結後の酸化皮膜の完全性を知ることはできませんが、高周波測定では容易に判別できます。
インダクタの高周波等価回路とインダクタンス（Ls）と Q の関係式は図1のとおりです。一般の業界では自己共振周波数（SRF）付近の Ls 値で前述の品質異常を検出し、実質的にQ値が低下しているかどうかをチェックしますが、接触抵抗の影響を避けることができます。一般的に、正常なインダクタは寄生容量の関係でSRFに近いほどLsが高くなりますが、不良品は過大な損失によってQ値が低下するため、Lsが低くなります。クロマ11090-030の100kHz~300MHzという広い測定レンジは、定格Ls/Qと高周波Lsの2つの試験要件を満たし、このようなインダクタの生産ニーズを満たします。また、研究開発や品質保証、インダクタの使用者にも適しています。
▲ (図1) インダクタの高周波等価回路とインダクタンス（Ls）と Q の関係
▲ (図2) サンプル測定と2つの曲線説明
Chroma 11090-030はRF-IV測定法を用いて被測定物（DUT）の電圧と電流を測定します。一般のネットワークアナライザと比較して、より広いインピーダンスレンジ（100mΩ～5kΩ）でより正確な測定が可能です。測定可能なインダクタンス値は非常に小さく、数nH程度です。さらに、11090-030の周波数レンジは100kHz～300MHzと広いもので、DUTの測定に数百kHzおよび高周波数MHzの2周波以上の要件がある場合、生産テスト装置は2台や2か所に分けて測定を実行する必要がなく、機器のコストを削減できます。
▲ 測定時間Slow、測定信号 1dBm、平均回数≧8、23℃にて
註1. Avg = 8, OSC = 1 dBm, calibration is performed (at 23 ± 5°C)
註2. Freq = 100 MHz, Ave = 8, OSC = 1 dBm, calibration is performed (at 23 ± 5°C)
註3. Freq = 1 MHz, Ave = 8, OSC = 1 dBm, calibration is performed (at 23 ± 5°C)
校正/補正ガイド機能
RF LCR測定では、正確な校正（OPEN/SHORT/LOAD）が非常に重要です。その過程でいずれかの項目に誤りや漏れがあれば、不正確な測定結果につながります。11090-030はガイド機能を持つ校正/補正方法で複雑な校正/補正プロセスのエラーを排除できます。ガイド付き校正プロセスにより、項目漏れのリスクを低減し、グラフィカルなガイダンスで標準部品の選択ミスを抑えます。校正プロセスが完了した場合は、測定画面にも対応する表示がなされます。
▲ 校正/補正プロセスの設定
▲ 校正プロセスの設定
▲ 補正プロセスの設定
Rdcによる磁性部品のコンタクトチェック
RF LCR測定の対象となるSMD部品は一般的にとても小さく、測定治具や自動化測定での接触の良し悪しも直感的に確認することは困難です。11090-030は直流抵抗（Rdc）による磁性部品のコンタクトチェック機能を提供します。Rdcは校正が不要なパラメータで、磁性部品（インダクタ、EMIフィルタ、ビーズ）の接触を確認する最も直接的な方法であるため、この機能は生産ラインでの測定でより高精度に不良品の選別を実行し、不良品の分類の正確性と効率を高めるのに役立ちます。
マルチパラメータコンパレータおよび分類機能
RF試験のさまざまな周波数領域における良品または不良品の判定はそのパラメータによって異なる場合があります。絶対値かパーセンテージかの違い、注目する一次と二次のパラメータの違い、高低判定方法の違いもあります。クロマ 11090-030は非常に柔軟性の高い表形式を提供します。最大13BINに達し、各BINには4つの限界値があります。周波数や測定パラメータなどの条件をカラムごとに独立して設定できるため、11090-030は異なる測定周波数下での異なるパラメータなどを含め、多様なソーティング要件を満たすことができます。
最大401ポイントマルチポイント測定および曲線描画機能
RFコンポーネントは、多くの場合複数の周波数領域にわたるパラメータの周波数応答変化を分析する必要があります。11090-030のマルチポイント測定機能は最大401ポイントの設定が可能で、ユーザーに詳細かつ正確な測定値を提供します。また、マルチポイントリストと特性曲線プロットを選択できるため、生産テストまたは解析の担当者がコンポーネントの周波数特性を迅速に理解するのに役立ちます。
▲ マルチポイントリスト
▲ マルチパラメータ曲線同時プロット
▲ シングルパラメータ曲線プロット
見やすい操作ガイド
タッチパネルのフルカラー高解像度液晶ディスプレイを採用。複数のパラメータ試験結果や設定状態、比較またはソーティング結果、参考値との偏差をクリアに表示します。また、シンプルなアイコンで装置の状態を表示して迅速な操作のためのガイダンスを提供し、ユーザーに直感的な操作と包括的な情報を提供します。
特許TW M621845 / CN 216013502U
SMD部品はサイズが微細で多様であり、位置決めには極めて精密な特殊材料が必要です。しかし、サイズを変更するたびにデバイスガイドを組み立て直す必要があり、時間がかかるうえに、高価な部品やデバイスガイドが損傷しやすくなります。各種小型SMD測定治具に対応し、改良されたプッシュダウン作動方式を採用しているため、90度回転させることができ、わずか3ステップで被測定物を交換できます（実際の測定時間は約40秒）。被測定物を交換する時間が短縮され、測定速度が加速し、デバイスガイドの脱着を繰り返す必要がなくなるため、摩耗やメンテナンスコストも削減されます。
11090-030にはインターフェースが完備されており、測定条件の設定、測定動作のトリガ、測定結果の判定および測定データの収集が可能な通信インターフェースが含まれます。さらにLAN、GPIB、USB（Bタイプ）、RS-232インターフェースおよびストレージインターフェースのUSB（Aタイプ）も含まれています。また、ハンドラインターフェースで測定をトリガし、その判定結果を外部に転送することができます。
▲ 注：USBポートは、『モバイルバッテリー充電』、『携帯電話充電』、『必要電流が0.5A以上』の接続デバイスには接続できません。
