63700シリーズエネルギー回生式の直流電子負荷は、電動車のバッテリー放電、燃料電池の放電、大電力電源の経年劣化、直流充電スタンド、単方向の車載充電器、燃料電池システム、蓄電システム、AC/DCおよびDC/DC電源供給器、パワーエレクトロニクス部品、電力エレクトロニクス部品などの製品の信頼性テストに使用されます。
エネルギー回生式直流電子負荷は様々な負荷特性をシミュレーションし、電力系統に戻すことも可能です。テストの発熱を大幅に低減し、エアコンの使用を減少させて、電力消費を軽減できます。これにより、ユーザーは電力変換の電力コストを節約でき、同時に省エネと環境保護の要件にも適合します。
63700シリーズは、高出力密度の設計を採用しており、3Uのコンパクトなサイズで、単一ユニットの出力は18kWまで、最大電流は540Aです。10台を並列に接続することで、最大出力は180kWに拡張され、最大電流は1,200Aに達します。電圧は100V、600V、1,200V、1,800Vの3つの範囲があります。
シリーズの全てのモデルには、負荷を制御するための外部電圧信号が搭載されており、実際の電流波形をシミュレートできます。また、マスター/スレーブ制御により、同じモデルの63700シリーズを並列に使用し、同期動的なロードが可能です。さらに、最大256個のプログラム可能なデータを保存可能で、ユーザーが保存した設定値をいつでも呼び出すことができます。自動化テストでは、この保存/呼び出し機能により、テスト時間が短縮されます。
測定に関して、63700シリーズはリアルタイムで正確な電圧及び電流を測定します。前方パネルのTFTタッチディスプレイとロータリノブで簡単に63700シリーズを操作と設定を行います。さらにLAN、USB、GPIB、CANなどのインターフェースを介して、リモートコントロールも可能です。
63700シリーズには、過電流、過電力、過熱保護機能に加え、過電圧アラーム機構を備えており、テスト中の製品信頼性を確保します。また、工程検査と自動検査システムとしても信頼できる製品です。
アプリケーション分野
Chroma 63700 シリーズの回生電子負荷は、最大93%のエネルギー回収効率を備えています。さらに、高電力密度、コンパクトサイズによりスペースを節約します。車載DC充電ステーション、単方向車載充電器、車載バッテリーの放電、燃料電池の放電など、さまざまな電源の長時間かつ信頼性の高いテストアプリケーションに適しています。63700シリーズは並列に対応し、最大出力は180kWに拡張可能で、5kWから180kWの電力範囲に適しています。
車載DC充電ステーションテスト
単方向車載充電器テスト
車載バッテリーの放電テスト*
AC/DC & DC/DC変換器耐久性テスト
サーバー電源および通信電源の信頼性試験
エネルギー蓄積システムの放電テスト
燃料電池の放電テスト
パワーエレクトロニクス部品のテストと信頼性
太陽光発電システムの負荷テスト
*放電テストを行う際に、外付け保護装置が必要です。
エネルギー回生式電子負荷、従来型電子負荷、および抵抗負荷
エネルギー回生式電子負荷、従来型電子負荷、抵抗負荷の主な違いは、エネルギーの消費方法、電流のリップルの大きさ、電流の傾き、および電力密度などがあります。エネルギー回生式電子負荷のメリットは、消費されるエネルギーを電力系統に戻すことができ、エネルギーの浪費を削減し、炭素排出量の削減に貢献します。従来型電子負荷のメリットは、電流リップルが小さく、電流の傾きが速いです。抵抗のメリットは、反応速度が一番速いですが、サイズが大きく、エネルギーの消費と電力密度が最も低いことです。ユーザーのニーズに応じて、適切な負荷を選択してテストを実施できます。全体的に言えば、回生式電子負荷は電源の耐久性テスト、信頼性テスト、バーンインテスト、および電池放電テストなどに適しており、効率よく環境の温度を下げて、電気代を大幅に削減できます。
エネルギー回生
63700シリーズはエネルギー回生式直流電子負荷で、負荷電力を交流電流に変換し電力網にフィードバックし、工場の電力網へのフィードバック効率は最大 93% です。送り返される電力は工場内の他の設備で再利用され、全体の電力消費と炭素排出を削減し、環境への影響を軽減します。また、電子負荷がロード時に発生する熱を軽減し、同時に空調エネルギーを削減し電気料金のコストも効果的に削減します。
以下は、2つの例で従来型電子負荷とエネルギー回生式電子負荷の使用を比較します。
例1:
11kWの車載充電器(OBC)の信頼性を評価するため、1,000時間のテストが行われました。
▲ 11kW OBC
- 従来型電子負荷でのテストでは、約11,000kWhの電力を消費しました。
- 一方、エネルギー回生式電子負荷でのテストでは、約770kWhの電力しか消費せず、10,230kWhの電力を節約し、さらに3.95トンの炭素排出を削減することができました。
例2:
30kWの充電スタンドモジュールの生産が行われ、生産プロセスでは充電スタンドモジュールの平均出力が5kWであり、1日20時間、1か月30日の生産が行われています。
▲ 30kW EVSE Power Module
- 従来型電子負荷でのテストでは、年間で36,000kWhの電力が消費され、これにより約13,932キログラムの炭素排出が発生します。
- 一方、エネルギー回生式電子負荷でのテストでは、年間で2,520kWhの電力しか消費せず、炭素排出は約975 kgに減少し、約12.96トンの炭素排出を削減できます。
注:
- * 回生式電子負荷(63718-1200-40)の最大効率は93%です。
- * 1kWhの消費における炭素排出は約0.855ポンド(約0.387 kg)です。(Source)
- * 電子負荷の消費電力のみを考慮し、その他の消費やコストは含まれていません。
- * 5kW x 20hrs x 30days x 12 months = 36,000kWh;36,000kWh x 0.387kg = 13,932kg
- * 0.35kW x 30hrs x 30days x 12months = 2,520kWh;2,520kWh x 0.387kg = 975kg
高電力密度
優れた電力密度により、同じ18kWの電子負荷でも体積を70%削減でき、これにより体積がコンパクトになり持ち運びの不便さが改善されます。実験室のスペースを大幅に節約できます。
高い測定精度とマスタースレーブ制御
Chroma 63700シリーズ高出力プログラマブル回生電子負荷には、速度と制御性能を最適化するデジタル信号マイクロプロセッサが搭載されています。電圧(0.05% + 0.05% F.S.)と電流(0.1% + 0.1% F.S.)の測定精度が高いため、正確性が確保されます。全シリーズ手動操作とリモート制御が可能です。ユーザーがよりハイパワーのテスト条件の場合、マスタースレーブ制御を設定して複数のユニットを並列に操作することができ、同時に負荷をかけて実際の負荷条件を正確にシミュレートする機能を備えています。
基本の負荷モード
Chroma 63700シリーズは、定電圧、定電流、定抵抗、定電力などの操作モードを備え、様々なテスト要件に対応します。例えば、定電流と定抵抗モードは、電圧源の被測定物のテストに役立ち、異なる負荷状況で被測定物の出力電圧が安定しているかどうかを確認できます。車載充電器(OBC)、バッテリー充電器、または充電スタンドのテストでは、充電器が定電流で動作する場合、63700は定電圧モードを使用して充電されるバッテリーの電圧変動をシミュレーションし、充電器が設定された出力電圧での充電電流の安定性を確保します。被測定物がバッテリーの場合、電子負荷は定電流または定電力モードでバッテリーを放電することができ、多くのバッテリー放電アプリケーションや電力の消費などの状況は、電子負荷のこの二つのモードでテストを行うことができます。
動的負荷モード
Chroma 63700シリーズは、プログラム可能な動的負荷(Dynamic Current Loading CCD)モードを提供しています。右図に示されているのは、プログラム可能なパラメーターで、設定可能な電流のHigh/Lowレベル、T1/T2、上昇/下降率、及び実行回数が含まれます。これらの基本的なパラメーターに加えて、ユーザーは一定の時間の繰り返し回数を設定でき、その範囲は1から65535までです。
プログラム可能なロードシーケンス*
63700シリーズには256のプログラマブル可能なロードシーケンスを内蔵しており、ユーザーのさまざまな負荷状況をシミュレートできます。プログラムされた負荷シーケンスの一般的な応用例の 1 つは次のとおりです。 バッテリー放電およびその他のアプリケーション(電気自動車および電動バイク): さまざまなダイナミックな負荷電流波形をシミュレートし、2つ以上の電流レベルを持つダイナミックな電流シミュレーションまたはone shotの負荷シミュレーションを提供します。
バッテリー放電テスト*
バッテリー放電テストでは、通常バッテリーは出荷前に容量を約30%〜50%に維持されますが、バッテリー容量がユーザー定義の割合を超えた場合、出荷前に放電する必要があります。
63700シリーズは、定電流(CC)、定抵抗(CR)、および定電力(CP)の3つの放電テストモードをユーザーに提供します。カットオフ電圧と停止時間(1秒〜100,000秒)を設定することで、電子負荷が正確にロードを停止し、バッテリーが過放電による損傷を防ぎます。
測定では、バッテリーの放電エネルギー、放電量(WH、AH)および総放電時間を測定できます。例えば、Load ONを押すと63700シリーズの内部タイマーがカウントを開始し、バッテリー電圧が設定されたカットオフ電圧に達するか、Load OFFが押されるまで、タイマーがカウントを続けます。バッテリーの放電テスト機能は、スーパーキャパシタの放電時間テストや他の同様のアプリケーションにも適用できます。
*この機能の詳細については営業にお問い合わせください。
スリープモード
63700回生式電子負荷は、スリープモードを提供しています。ユーザーは休止時間を自分で設定できます。電子負荷が何も操作されずに待機状態にあり、かつ時間が設定された休止時間に達した場合、63700は主電源(例:モジュール電源)をオフし、システム電源をキープしてスリープモードに入ります。電子負荷がスリープモードに入ると、最大で75%の電力を節約できます。63700を起動する方法は:1. スクリーンをタッチ;2. パネルのONボタンを押す;3. リモートで指示を送る。3つがあります。
便利なタッチパネルUI
手動操作部分には、5inchのカラータッチスクリーンが採用されており、同時に測定値と設定値を表示できます。わかりやすいインターフェースにより、使用者はより直感的に操作できます。タッチスクリーンに加えて、ロータリスイッチノブと負荷スイッチンも残しており、精密で迅速な微調整が可能です。
▲ 定電流 (CC)
▲ リストモード (List Mode)
▲ バッテリー放電機能 (Battery Discharge)
▲ システム設定 (System Setup)
▲ 測定設定 (Meas. Setting)
▲ 保護設定 (Protection)
安全保護機能
63700はエネルギー回生機能を備えており、外部の保護きのうとして、入力AC電圧の過電圧(OV)または低電圧(UV)、周波数異常(Freq. Error)、三相不均衡(Unbalance)、過電流(OC)を検知した場合、モジュールの電源を切断して、グリッド統合の安全性を確保します。また、63700の内部保護機能には過電圧警告(OVA)、過電流保護(OCP)、過電力保護(OPP)、過温度保護(OTP)、低電圧保護(UVP)などがあります。内部の保護機能が作動すると、63700はローディングを停止します。
ユニバーサル AC 電源レンジ200VAC~480VAC
63700回生式電子負荷は、全世界の交流電源に対応できるように設計されています。入力範囲は三相200〜220Vac及び380〜480Vacであり、購入する際には他の地域の電源構成に対応できるかどうかを考慮する必要がありません。
インターフェース
63700回生式電子負荷は、様々な通信インターフェースをサポートしており、ユーザーはUSB、LAN(スタンダード)及びGPIB(オプション)を使用してPCでコントロールします。また、自動車産業でよく使用されるCANインターフェースもサポートしています。CAN2.0 A&B仕様の11-bit/29-bitに対応しており、V/I/Pパラメータを高速(10ms)で読み取ることができます。
ソフトパネルTM ソフトウェアインターフェース
フロントパネルでコントロールするだけでなく、グラフィカルなソフトウェアでもコントロールできます。使いやすいグラフィカルなソフトウェアのインターフェースには、単体でのコントロール機能も含まれており、ユーザーは簡単に操作できます。63700シリーズには、GPIB、USB、LANなどさまざまな通信インターフェースが搭載されており、ユーザーはインターフェースを選択し、コンピュータとの通信を確立できます。
▲ 定電流モード (CC Mode)
▲ システム設定 (System Setup)
▲ 全ての設定 (All Setting)
▲ レポートの出力内容設定 (Report)