17040 充放電試験システムは二次電池のモジュールとパックに対して高精度測定が可能なデザインになっています。さらに電力回生式であり、UUTからの放電を電力として無駄にすることはありません。また、他のデバイスからの高調波の影響を受けることなくグリッドや別のUUTに電力を回生することが出来ます。このような電力回生技術は無駄な電力消費を減らすだけでなく、放熱の問題も解決し、空調システムの大規模な整備も必要がなくなります。
17040は並列接続機能と実運転模擬機能を持っています。並列接続機能は充放電の電圧電流を最大まで引き出すことが出来るようになり、UUT選択の幅が広がります。実運転模擬機能はユーザー定義の波形データを読み込むことが出来、NEDCやFUDSの要求を満たすことが出来ます。このシステムの双方向電源構造は充放電の切換でも電流が遮断されません。したがって、実運転模擬をISO、IEC、ULやGB/Tなどの国際規格に則り正確にシミュレーションすることができます。
クロマの充放電試験システムに付属する"バッテリープロ"はテスト項目を柔軟に設定することができ、チャンネルごとに独立した試験が可能です。高い安全性と安定
性を確保し、多種多様な試験が必要な二次電池に適合したソフトウェアです。さらにデータ保護機能を持ち、一次側電源に不具合が生じた場合に状況を瞬時に感知し、データ保存を行います。電源が正常状態復帰後に中断ポイントから試験を継続することが出来、時間を無駄にすることはありません。(最初から試験し直すことも可能です)その他過電圧、過電流、高温保護及び外部パラメーターにより充放電試験システムとバッテリーを保護します。
セキュリティ&リスク管理
- 負荷テスト、カットオフ、保護基準を内部ソフトウェアとハードウェアから読み込むことで複合的にデバイスを保護します。
- BMS、データロガー、チャンバー、その他I/Oシグナルをリアルタイムでモニタリングしており、異常を感知すればすぐに保護機能が作動します。
- 主な保護機能:OVP(過電圧)、UVP(低電圧)、OTP(高温)、WIR_LOSS(電圧損失)、CAL_ERR(校正不良)、POW_ERR(電源不良)、RMT_RVS(リモートセンス逆接続)
高精度測定 - 品質の向上に貢献
- 高速サンプリング:サンプリングレート最大50kHz
- 電圧確度:±(0.02%reading+0.02%r.n.g.)
- 電流確度:±(0.05%reading+0.02%r.n.g.)
- 高速応答:電流スルーレート2ms(-90% to 90%)により、様々なアプリケーションに対応可能
- 電圧/電流4レンジ自動切換:電流変動に伴って測定確度を自動的に4レンジ切換
- 実運転模擬機能(波形)で電流と電圧を読み込み実際の運転を模擬でき、NEDC、FUDS、HPPC規格に対応できます。
高速サンプリング
一般に、バッテリーの充放電はソフトウェアを利用して電流値を読み、電力の計算を行っています。しかしながら、データサンプリングスピードが遅いと動的に動く電流を使って計算しようとした場合に大きなエラーを引き起こす可能性があります。これには電圧/電流サンプリングレートの上昇と最適なシステムインテグレーションによって、電流の変動が頻繁に生じる場合でも変換スピードによる阻害を受けることなく、正確で高精度な試験を実施することが出来ます。
- 電圧/電流サンプリングレート:50kHz(per 20μS)
- 複合計算:キャパシティ計算用電流、電力計算用電圧×電流
高速応答
高速応答モードでもバッテリーにダメージを与える大きさのオーバーシュートは発生しません。
- 電流リップルノイズ<0.5% / オーバーシュート <1%
実運転模擬
バッテリーパックは高速で不規則な電流環境で使用されます。17040は実運転模擬機能を使って実際の運転状況に近い形でシミュレーションを行うことができます。
- ダイナミック充放電電力波形もしくは電流波形を使って実運転もしくはその他の実使用環境をシミュレーションします。ダイナミック電流モードでは最大放電電流と充電電流の切り替え時間は最大で2mSです。
- Excelファイルで作成した電流/電力波形を読み込み、テストステップとして定義できます。
- チャンネルごとに最大720,000ポイントまで波形情報を記録できます。
効率性 - オペレーションコストの削減
- ソフトウェア/ハードウェアのシステムインテグレーションとカスタマイズはBMS、チャンバー、外部信号、HIL(Hardware in the loop)に対応しています。
- 様々なシグナルインターフェイスを提供し、多くの外部デバイスと接続することでHILに対応します。(CAN-bus、Ethernet、Analog I/O)
- 17040を並列し最大360kW、900A構成が可能です。
- バッテリシミュレーター対応。
- 高効率の電力回生技術搭載。
データロガー連携技術
17040は51101 多機能温度データロガーと連携し、温度と電圧を複数箇所計測し、ソフトウェアのカットオフと保護機能を使用することができます。データロガーはチャンネルごとに同時にサンプリングが出来、データ転送スピードは200ms以上です。より高速のデータサンプリングが必要ならば、他社メーカーのデータロガを組み込むことが可能です。17040では51101を使って192チャンネルまでのデータサンプリングに対応しています。
充放電電力回生技術
- 逆潮流電流を正確にコントロールするための双方向回路構造
- 電力回生効率90%以上
- 静的電力回生:THD<5%、PF>0.95で太陽光発電や系統回生に対応
- 動的電力回生:リアルタイムに電流変動、相転移するので、系統への影響は極小
- 系統へ電力回生する時にスムーズにAC電流に相転移し、系統や他の設備に悪影響を与えることを防ぎます。
デュアルモードアプリケーション
- 充放電モード:バッテリープロ対応のインターフェイスを経由してバッテリーパック試験に対応
- バッテリーシミュレータ―モード(オプション):バッテリーシミュレーション対応インターフェイスを経由してモータードライバや充電ステーションの試験に対応
バッテリー充放電ソフトウェア - バッテリープロ
ソフトウェアプラットフォームの「バッテリープロ」を17040と共に使うことで高い安全性と安定性を必要とする二次電池試験の多様な要求に対応します。また一次電源側の不具合によるデータロスを防ぐ機能を備えています。
- リアルタイムモニタリング:収集したデータをリアルタイムで見ることが出来ます。また試験データだけでなくシステム統合データも同時に見ることができます。
- アイコン操作:チャンネルごとの試験状態をアイコンで管理することができます。
- 管理権限の設定:オペレーターの権限レベルに合わせた閲覧や試験内容を設定することができます。
- 異常データ記録:チャンネルごとの異常なデータを独立して記録します
CAN-bus/SMbus/LIN通信
- Vector dbcファイルをインポートでき、BMSモニタリングを簡単かつ迅速にセットアップできます。
- 必要なメッセージの設定にはBMSの通信プロトコルに従ってください。
- BMSのデータからテスト中のカットオフや保護機能の設定を行うことができます。
バッテリシミュレーター
17040とバッテリシミュレーターソフトウェアがあればバッテリーパックとバッテリーパックに接続される製品を試験することが出来ます。製品がまだ研究開発段階であったり、対象のバッテリーがまだ利用できない場合、17040は製品がシステムとして機能するかどうかシミュレーションすることができます。さらに、SOCが異なるバッテリーをコントロールできます。加えて、DUTの充放電の状況を見るために異なる充放電カーブを17040にダウンロードし、試験することができます。バッテリーとDUTの並列評価試験を進めることが可能で、スタートストップ用モータードライバ、EV照明コントロール、車載充電器など多くのEV電装品に対応しています。
バッテリーシミュレーターインターフェース
オプションのバッテリシミュレーターソフトウェアは17040を充放電可能な双方向電源として使うことができます。更に、電池容量やDCR、V-SOCカーブを17040にダウンロードし、充電器、インバータ、モータードライバの試験に使うことができます。