Chroma 63800Rシリーズは回生機能を備えたAC電子負荷を提供し、定格電力 9kVA、12kVA、15kVA の 3つのモデルを備えています。このシリーズはコンパクトな 3U シャーシでありながら最大15kVAの負荷電力を提供する高電力密度設計を実現しています。1台に単相、三相負荷モードを搭載し、幅広い交流電圧源製品に対応します。マスタースレーブ制御により複数のユニットを並列接続し、より大きな負荷電力を提供出来ます。
Chroma 63800Rシリーズは、回生機能を備えた高効率の省エネソリューションを提供し、負荷試験中に被測定物によって消費されるエネルギーが高効率で機器からグリッドに回生され、試験中で熱エネルギーを削減し、環境保護や省エネを実現します。このため、63800Rは電力貯蔵システム(ESS)、太陽光発電蓄電インバータ(ハイブリッドPVインバータ)、電気自動車AC充電設備(AC EVSE)、双方向車載充電器(BOBC)のV2LおよびV2Hアプリケーションなど、さまざまなグリーンエネルギー関連分野の試験に適用できます。
このほか、無停電電源装置(UPS)に対しては、従来のAC負荷とは対照的に、63800R シリーズは廃熱の発生を排除し、回生機能により電気コストを大幅に削減します。さらに、UPS テストに関する IEC 62040-3 規格の要件を満たしています。
Chroma 63800Rシリーズは最先端のオールデジタル制御技術を採用し、基本的な負荷設定のほか、開始/終了の負荷電流位相角度、負荷電流スルーレートなどの詳細設定を提供します。さらにロード時はリニア負荷レベルの高精度を達成することができます。被測定物の電圧源の急速な変動に対応するため、Chroma 63800Rシリーズでは新しいスタンバイ機能が開発されました。被測定物がスタンバイおよびカットオフの時にLoad Onをキープでき、電圧源が起動すると瞬時にロードします。この機能はスマートファクトリーでの完全に自動化されたテストプロセスに適しています。
Chroma 63800Rシリーズは定電流、定電力、定抵抗などの基本機能のほか、整流モードや位相リード/ラグモードなどの高度な動作モードを提供します。整流負荷や誘導性、容量性負荷特性をシミュレートできます。また、独自のハーフサイクル負荷機能により、SCRやTRIACコンポーネントの特性をシミュレートし温度調節、調光型の家電製品、保護スイッチなどの負荷特性をシミュレートなど、電圧源の出力安定性をテストすることができます。
Chroma 63800Rシリーズは5インチLCDタッチパネルを搭載し、直感的なユーザーインターフェースですぐに操作に慣れることができます。リモートインターフェースにはUSB、LAN、オプションでGPIBまたはCANインターフェースがあります。PCとクロマのSoftPanelソフトウェアにてモート制御およびデジタルI/O制御が可能です。このほか、クロマは装置の制御ドライバも提供しており、LabVIEWソフトウェアでシステムのプログラム統合アプリケーションを制御できます。
高電力密度の回生AC負荷
Chroma 63800Rシリーズの電子負荷は高精度スイッチング型AC負荷で、高電力密度設計により3Uシャーシでありながら最大15kVAの負荷電力を実現します。精密な双方向電源技術は最大89%の高効率回生機能で、試験の消費電力を施設内のグリッドに還元することができます。63800Rシリーズはデジタル制御の正確な周波数ロック、位相ロック機能により、1台で単相と三相の両方のロードモードを実現できます。家庭用/商業用オフライン太陽光発電インバータ、無停電電源装置、自動車用AC充電ステーションなど、さまざまなAC電源やインバータ機能を持つ製品のロードテストに適しています。
回生AC電子負荷63800Rシリーズをシステムラックに組み込んで使用する場合、3Uシャーシでラックスペースに大きな空間的柔軟性を提供します。エネルギー回収機能は従来のRLCロードに関連する廃熱の問題を解決し、冷却コストを節約します。さらに、さまざまな被測定物をテストする場合、単相/三相機能により、従来の準備が必要な複数の負荷は必要なくなります。コスト、スペース、アプリケーション、配線のいずれの面でも、63800Rシリーズはより経済的で信頼性の高いソリューションを提供します
直感的な UI デザインを備えたフルタッチパネル
回生AC電子負荷63800Rシリーズはタッチパネルを搭載し、直感的なUIでさまざまな設定や操作がすばやく実行できます。ロード/アンロード角度、負荷電流スルーレートなどを設定するAC負荷の詳細機能は、すべて右上のMore Setting機能に収納され、メイン設定画面はすっきり見やすくなっています。フルスクリーンモードでは、すべての測定値をフルスクリーンに拡大でき、入力設定完了後は表示された測定パラメータ画面を確認することができます。
- メイン機能画面
- 固定スクリーン
- フルスクリーンモード(測定値)
- ダイヤル入力モード
- 三相統一設定
- 総電力表示
- 機器出力中
- 詳細設定オプション
- 出力モード選択
- 電圧周波数設定
- 測定値表示
- さらに多くの測定値(左右にドラッグ可)
▲ 詳細モード
▲ フルスクリーンモード
グリッド接続とエネルギー回生の安全保護メカニズム
Chroma 63800Rシリーズの回生AC電子負荷はグリッド接続およびエネルギー回生機能が備えており、電源入力端には完全な保護対策が設計されています。63800Rシリーズがグリッド側AC入力に過電圧、低電圧、周波数異常、三相アンバランス、過電流などの異常を検出すると、瞬時に警告を表示してロードを停止します。さらにグリッド側の電源モジュールがロック状態にしてユーザーの安全を維持します。グリッドの状態が正常なことを確認してから機器を再起動してグリッドに再接続し、完全なグリッド接続保護メカニズムを実現します。
包括的なAC負荷シミュレーション機能
Chroma 63800Rシリーズは全面的なAC負荷シミュレーション機能を搭載しています。一般負荷、整流負荷、誘導性/容量性負荷モードに対し、それぞれ異なる操作モードで負荷シミュレーションを実行します。
一般負荷
63800Rシリーズは定電流(CC)、定電力(CP)、定抵抗(CR)モードを提供します。この機能はさまざまなタイプのAC負荷特性のシミュレーションに幅広く使用できます。定電流(CC)および定電力(CP)モードでは、負荷の力率(PF)またはクレストファクタ(CF)を設定できます。PFはLead/Lagを使用してリード/ラグ電圧を定義します。ほかにもPriority設定で、PFとCFを一度にプログラムすることができます。CRモードでは、PF値は常に1です。線形インピーダンスをシミュレートして、電圧中断の過渡状態のロード試験など、被測定物の電圧源の変化に迅速に反応することができます。
▲CC モードメイン画面(三相))
▲CF/PFパラメータPriority設定
▲ CR モードで電圧中断ロード試験を実行
整流負荷
従来のインバータ、UPS、スイッチモード整流器、音響照明制御機器、可変周波数機能を持つ電気機械装置などの整流負荷や非線形負荷に対して、Chroma 63800Rシリーズは専用のCC整流モードとCS整流モードを提供します。テスト要件が定電流を必要とするか、皮相電力が一定であるかによってロードのCF値を追加設定してピーク電流を生成し、安定度が高いスルーレートに従って、さまざまなタイプの非線形負荷電流を正確にシミュレートします。
▲ CC 整流モードメイン画面(三相)
▲ CS 整流モードメイン画面(単相)
▲ 整流モード(CF=3)
誘導性および容量性負荷
多くの電気機器は受動部品の使用により誘導性および容量性が見られます。その特性は負荷電流が電圧に対してリードやラグがあることです。Chroma 63800Rシリーズは特定のCC Lead/LagモードとCS Lead/Lagモードにより定電流または定皮相電力試験条件下で、電流と電圧の位相差(Deg)を調整してさまざまな誘導性または容量性負荷特性をシミュレートすることができます。
▲ CC Lead/Lag モードメイン画面(三相)
▲ CS Lead/Lag モードメイン画面(単相)
▲ Lead/Lagモード(Deg=90º)
ハーフサイクル負荷機能
Chromaの回生AC電子負荷63800RシリーズはCC整流モードでハーフサイクル負荷機能を搭載しています。電圧、電流が正弦波の条件で、正のハーフサイクル、負のハーフサイクル、さらにはSCR/TRIACスイッチ特性をシミュレートする90度のリーディングエッジ、トレーリングエッジなどのハーフサイクル負荷を提供します。この特殊な電流波形をロードすることにより、温度調節/調光型の家電製品、保護スイッチなどをシミュレートし、SCR/TRIACコンポーネントの被測定物に関する負荷特性を使用して、電圧源の出力安定性をテストすることができます。
▲ ハーフサイクルロード機能メニュー
▲ 正のハーフサイクルロード波形
▲ 90˚ リーディングエッジロード波形
スタンバイ機能
回生AC電子負荷63800Rシリーズは高度な制御アルゴリズムと正確で迅速な回路検出により、新しいスタンドバイ機能を実現します。回路が突然開放されたり、電圧源が瞬間的に遮断されたりする試験条件に対し、被測定物からの電圧の消失を検出することで、すばやくスタンバイ状態に切り替えて電流源の開放を回避することができます。この機能がなければ、スイッチ式の負荷は電圧の変化に反応が間に合わず、逆方向の高電圧が生じ、電圧保護をスキップしてテストプロセスが中断します。このほか、Chroma 63800Rシリーズは電圧源起動前のロードオンもサポートしており、電圧源が起動するとすぐにロード状態に切り替わり、迅速なスタンバイ起動試験が実現します。ユーザーがロード設定を完了してロードオンすると、テストプロセス中にいつでも電圧源を遮断できます。Chroma 63800Rシリーズは自動車用AC充電ステーション(AC EVSE)の動的ロード、OCP/OPPロード、カードスワイプ充電などのテスト項目、さらにインバータやUPSシステムのスタンバイ起動、バックアップ電源スイッチングなどのテストに適しています。
▲ スタンバイ機能は被測定物中断テストに適用
▲ スタンバイ機能は迅速なスタンバイ起動テストを実現
電気自動車AC充電ステーションの省エネ試験ソリューション
回生AC電子負荷63800Rシリーズは高電力密度と高効率のエネルギー回生などの特性により、試験領域において電気自動車AC充電ステーション(AC EVSE)に新しい省エネ省炭素ソリューションを提供します。従来のロードボックスは体積が大きいだけでなく、試験エネルギーを熱エネルギーに変換することで大量のエネルギーを消費します。そして対応する冷却システムを装備する必要がありました。。Chroma 63800Rシリーズは最大効率89%のエネルギー回生機能を備えています。最大電力ロードを使用した場合、生産ラインでは1台の設備で年間116,946kWh、二酸化炭素排出量45,258kgに相当する電力を節約することができます。省エネという目的を達成するだけでなく、冷却コストも大幅に削減することができます。また、3Uシャーシは大きくて重いロードボックスと比べて、より柔軟なテスト構成を実現できます。このほか、Chroma 63800Rシリーズには完全なCC、CP、CRロードモードを搭載しています。AC EVSE の CCID/RCD 漏れ電流要件を満たし、経年劣化試験や負荷特性試験において、より経済的で信頼性の高いソリューションを提供します。
*国家エネルギー情報局によると、1 kWh の電力消費により、約 0.855 ポンド (0.387 キログラム) の二酸化炭素が排出されます。
*Chroma 63800R 用の特別な突入電流リミッターボックスは、AC EVSE および AC EV 充電器のテストアプリケーション用に購入できます。
マスタースレーブ並列機能
Chroma 63800Rシリーズはマスタースレーブ(Master-Slave)並列機能を搭載しています。最大3台の並列接続が可能で、より高い負荷電力要件を満たすことができます。同じ定格電力の63800Rシリーズ製品を3台並列接続することにより、1台のマスターユニットと2台のスレーブユニットの並列構造で、9Uフォームファクタ内で総負荷電力45kVAの高電力密度構成を実現できます。
*Chroma 63800Rシリーズ製品は並列接続した場合、操作設定は三相モードのみサポートします。