63200Eシリーズは電力容量2kW~24kW、電圧150V、600V、1200Vの計36モデルをラインアップしている直流電子負荷です。1ユニットの最大電流が24kW/150Vモデルで2000Aとなり、バッテリー、充電スタンド、車載充電器などの大型パワーエレクトロニクス製品試験に最適な製品です。動的で複雑な電流過渡応答に対応し、EV、車載電装品、二次電池などにおける正常状態と故障状態のシミュレーションを可能にします。63200Eシリーズはマスタースレーブ運転に対応しており、同じ電圧範囲のモデルであれば最大10台まで並列し、240kW出力が可能です。
試験プログラム設定保存機能を持ち、いつでも保存された設定を呼び出すことで、入力作業が簡略化され自動検査の工数削減に寄与します。63200Eシリーズの測定能力は瞬時に正確な電圧と電流の性能を持っています。短絡回路シミュレーションは電源試験に必要な項目の1つであり、各種試験の要求仕様を満たすことができます。
63200EのフロントパネルにあるVFDディスプレイ、ロータリーノブ、テンキーによって試験項目を簡単に操作および設定することができます。また、イーサネット、USB、GPIBなどの通信インターフェースを介してリモートコントロールで実行することも可能です。安全面では、製品の信頼性を向上させるためにリミットを設定可能な過電流、過電流、過熱保護と過電圧逆接続アラームを備えており、工程テストや自動検査システム内に組み込まれても、試験と製品の安全性を保つことができます。
直流電子負荷の基本動作モード
様々な試験要求に対応するため、CV、CC、CR、CPで動作させることができます。例えば、CCモードおよびCRモードでは、負荷が変動した場合でも被測定物(DUT)出力電圧は安定した状態を保ちます。充電器や充電ステーションの試験では、CVモードで出力電圧を変更することでバッテリーの充電電流を保ちます。DUTがバッテリーの場合、電子負荷はデバイスの負荷状態をシミュレートして変化します。CPモードは多くのバッテリーの放電アプリケーションおよび電力消費プロファイルをシミュレートできるため、電子デバイスの負荷を分析するためには最適です。
ダイナミックローディング
パワーエレクトロニクス製品の性能要件を満たすために、63200Eは高速かつプログラムを可能なダイナミックローディングを搭載しています。上の図は電流値(Load1/Load2)、時間(T1/T2)、立ち上がり/立ち下がり スルーレート、そして実行回数などのプログラム可能なパラメータを示しています。負荷電流が連続的に変化した時の電流波形の歪を最小限に抑えることが可能です。
ダイナミックモードでは、各負荷の繰り返し回数を1~65535の範囲で設定でき、回数を1回に設定すると負荷電流がパルス電流で引かれます。このモードはヒューズ、スイッチング電源、同軸ケーブル、リレー、バッテリーの瞬間的な耐高電流試験に適しています。
▲ Pulse Current
定インピーダンスモード(CZモード)
PCのメインボード上にはたくさんのコンデンサが実装されています。サーバの過電流保護のトリガとなる突入電流を防ぐ(サーバはメインボードのキャパシタに充電する)ため、電源起動時の容量性負荷の試験をする必要があります。この試験を実現するためには、CZモードが有効です。
63200EシリーズのCZモードは、CCやCPモードの負荷動作を改良し、より現実的に負荷電流をシミュレーションすることが可能です。
プログラマブル負荷タイミング
様々な負荷状態をシミュレーションするため、255のプログラマブルタイミングを有しています。単一のシーケンス負荷で繰り返しロードができ、すべてのタイミング負荷を繰り返しロードしても、各タイミングの最小時間は100ms、分解能が100msになります。下記はアプリケーションによる共通のプログラムタイミングです。
- バッテリー放電及び他のアプリケーション(NPC、EVとEスクータ)をシミュレーションするダイナミック電流波形
- テレコム電源混載負荷変調(多ch出力DUT)
- 燃料電池のライフサイクル試験負荷シミュレーション
設定変更可能なホットキーデザイン
4個のホットキーボタンを押すことで、設定した動作モードを簡単に切換できるため、使いやすくなり、ボタンを長押しすることでホットキーの変更も可能です。
高い電力密度
63200Eシリーズは2kW/3kW/4kW/5kW/6kW/8kW/10kW/12kW/15kW/18kW/20kW/24kWの定格容量とそれぞれに150V/600V/1200Vの電圧範囲の計36モデルをラインアップしています。最大の高さでも13Uとなり非常に高い電力密度設計となっています。今まで大型で移動させるのが難しかった大容量電子負荷の概念を刷新するコンパクトサイズであり、今後大容量化が確実な自動検査システムの直流電子負荷選定において試験エリアを有効活用でき、スペースの問題を解決できる63200Eは最適な選択肢です。
3つの測定レンジと高精度測定
60kW with slave units (41U Rack) ▶
63200Eは高精度A/Dコンバータを搭載することで電圧測定では0.02%+0.02%F.S.、電流測定では0.1%+0.1%F.S.、電力測定では0.1%+0.1%F.S.の高精度な測定を実現しています。さらにHIGH、MIDDLE、LOWの3つの測定レンジを持ち、DUTの電力容量に関わらず、電力効率やDUTの他の重要なパラメータの試験において、常に適したレンジで測定できます。
マスタースレーブ並列運転
電力を増やしたい場合、2台以上を並列で運転させることにより、試験に必要な負荷電流をとることができます。マスター機に負荷電流を設定すれば、自動で計算されてスレーブ負荷を制御しマスタースレーブ運転となります。標準インターフェースUSBまたはオプションインターフェースのEthernetやGPIBを使用し、自動検査システムへの統合することができます。
バッテリー放電試験
3種類の放電モード(CC、CR、CP)を有しています。電子負荷は正常に負荷を止め、バッテリーが過放電により損傷を受けていないか確認をするため、カットオフ電圧と時間(1~100000秒)を設定することができます。また、バッテリーの放電電力(WH、AH)及びトータルの放電時間を測定することが可能です。例えばLoad ONされた時、内部クロックはバッテリー電圧がカットオフ電圧まで落ちるかLoad OFFされるまで時間を測定します。バッテリー放電試験は、電気二重層コンデンサの放電時間試験などにも適用が可能です。
EVSE(急速充電/DC)と車載充電器試験
EVSE(急速充電/DC)はEV関連市場で必要不可欠な設備です。63200Eシリーズは、並列出力最大240kW、最大電圧1200Vでの試験を行うことができ、(1000Vを超える場合は定格容量が半分となります)EVの研究開発と品質保証の要求を満たせるモードと機能を搭載しています。63200Eシリーズは自動検査システム ATS 8000に統合でき、生産ラインの迅速な検査、評価をサポートします。
OBC(車載充電器)の試験では、63200Eを使用してバッテリー放電試験を行うことができます。OBCがCCモードでバッテリーを充電し始めると、負荷としてCVモードを設定し、CVモードでフローテイング状態になったら、63200EをCCモードに設定する試験が可能です。