Chroma1210は、電気駆動アッセンブリ(E-Propulsion)用の新しい試験システムで、EV乗用車やEV商用車などの車種に適用され、電動車両の動力システムのシミュレーション試験を可能にします。試験対象にはモータ、モータコントローラ、トランスミッション、電気駆動システムなどが含まれます。
Chroma 1210 E-Propulsion用ベンチテストシステムは、主に自動車の動力システムの性能の校正と検証に使用され、機械コンポーネントのシステムシミュレーション検証で使用する動的実車モデルをロード出来る機能を備えています。システムは手動またはプログラム制御で操作できるほか、電圧、電流、電力、回転数、トルク、温度などの物理パラメータを同期して記録し、モータとコントローラの効率を計算し、効率マップを描画します。テスト中に生成された電力はChroma 17040や62000Dのエネルギー回生機能を介してグリッド電源に回生されます。また、17040のバッテリーシミュレーション機能は、自動車動作中のバッテリーの反応特性をリアルタイムでシミュレーションし、検証の信頼性を高めます。
E-Propulsion用ベンチテストシステムは4象限動作機能を備え、定格回転数未満でも定トルク負荷を維持し(ゼロ回転または逆回転)、定格回転数以上では定電力負荷が可能です。統合された機械設計を採用しておりストレスや共振をシミュレーションするためモーダル解析を使用しています。フルスピードレンジのテストが可能です。モジュラー式クランプシステムを採用しているため、さまざまなモータの試験に対応できます。
システムには、過電流保護、過電圧保護、低電圧保護、短絡保護、電源欠相検知、システム温度監視などの保護機能と、過負荷応答警告機能が搭載されています。また、そのE-Propulsion Testテストソフトウェアには、DBCの読み込み、手動制御、データ監視などの機能も備えています。テストインターフェースは、リアルタイムの波形表示機能をサポートしており、テスト中に回転数、電圧、電流などの値を時間とともに2次元グラフとして表示することができ、データのサンプリングレートも設定可能です。
システム構成
Load Dynamometer
ダイナモメータはトルク、回転数、電力の測定に使用します。AC-Motor、トルクメータ、テストベンチ、カップリング、保護カバー、E-Motor取付具が含まれています。
Power Drive Unit
テストベンチでAC-Motorを制御するために使用される高性能パワードライブユニットです。
Data Acquisition Unit
さまざまな物理量のデータを記録し、ユーザーがDIO / AIO / CAN / CAN FD / EtherCATなどのインターフェースを備えています。
Host Unit
実行可能な制御ソフトウェアE-Propulsion Test Softwareは、システム制御、データ監視、セキュリティアラームなどの機能を備えています。
Battery Emulator
カーバッテリーの動的充放電動作をシミュレーションします。エネルギー回生機能などを備えています。
振動監視モジュール (Vibration Monitor Unit)
監視モジュールを使用して、ダイナモメーター側のモーター、ベアリングボックス、およびDUT(試験対象)システムの振動を測定することができます。これにより、テスト中に発生した振動を監視および記録し、振動が安全範囲を超えると、警報を発し、テストを停止することが可能です。この仕組みにより、テスト過程の安全性と安定性が確保されます。また、製品が特定の振動基準や規格を満たしていることも同時に確認できます。
システムの特徴
システムの安全保護–装置の耐用年数を延ばす
- 過電流、過電圧、不足電圧、短絡、電源欠相識別、システム温度監視などの保護機構と過負荷応答警告機能を備えています。
- システム制御はデュアルループ保護機構(Dual loop mode protection)を採用し、安全な操作環境を効果的に構築しています。
- リアルタイム振動監視モジュール(Vibration Monitor Unit)搭載で、電気駆動アセンブリテストシステムとDUTの動作状況を同時に監視し、データのリアルタイム収集とアルゴリズムによるSpectrum overall value(SOA)解析で、システムを管理します。システムに異常が発生した場合、コンソールに即座にフィードバックを送信し、アラームやシャットダウンなどの動作を実行します。
データ同期測定–実験の信頼性の向上
- データ監視インターフェースに、電圧、電流、回転数、トルク、入力電力、出力電力、効率、温度など、テストの瞬時値がリアルタイムで表示されます。
- データを同期的に収集できるほか、さまざまなテスト要件に応じてサンプリング周波数を調整できます。
- CAN / CAN FDデータまたは他の物理量信号を選択して同期的に収集できます。
DUTの振動特性分析–モータの品質異常を低減
- リアルタイム検出-信頼性の高い自動故障診断
- テスト品質の保証-DUTを継続的に監視し、異常品のテスト時間を短縮します。
E-PROPULSION TEST ソフトウエア
ChromaのE-Propulsionテストソフトウェアは、リアルタイム制御システムを備え、モータドライブを同期制御できるほか、CAN / CAN FD / EtherCATなどの通信方式をサポートし、データ監視画面にてカスタマイズされたサービスを提供します。ダイナミック実車条件シミュレーションでは、SimLinkベースの自動車モデルを使用し、NEDC、WLTPなど国際的なテスト基準をインポートして自動車動力システムの検証ができます。また、ソフトウェアによって自動車の動力用バッテリーの機能をシミュレーションし、機械エネルギーを実際に消費および充電することでBMS(バッテリー管理システム)の検証や、車両の航続距離の計算が行えます。

▲ ユーザーコントロール画面

▲ データ監視画面
E-Propulsion Testは、さまざまなモータやモータコントローラを測定でき、収集したすべてのデータは完全に同期されます。この方法によって、各種電気駆動システム(シングルモータ、モータ、発電機、2~4輪ハブモータ、水素燃料ハイブリッドシステムなど)を総合的に分析することができるほか、他の負荷(暖房、空調、24V、12Vなど)を同時に考慮できます。一般的な電動自動車のテストはさまざまな走行状況(都市の交通/長距離の山道)に基づいて行われます。さまざまなスイッチング周波数で動作するモータコントローラにより、効率化を図ることができます。実際の環境ではさまざまな要因が電気自動車のエネルギー消費に影響を与えます。温度、天気、道路の質、路面状況(上り坂、下り坂、都市の道路、長距離の山道、混合物の路面)など環境要因のほか、ドライバーの運転習慣もさまざまです。E-Propulsion Testはテストプロセスにおいて、上記すべてのパラメータによる影響を同時に考慮し、測定および分析をします。
▲ Test Report Output
PHILシステムアプリケーションアーキテクチャ(VEHICLE MODEL SIMULATION ON THE TEST BENCH)
Test Items
Test item of environmental testing for E-drive and auto parts
- Low temperature test
- High temperature test
Test item of auto parts
- Motor excess speed test
Test item of E-drive
- Lock-rotor test
- Regenerative energy feedback test
- Efficiency test
- Torque and speed characteristic test
- Maximum speed test
- Peak / Continuous power test
- DC bus voltage test
- Drive motor controller current test
- Peak / Continuous torque test
- Respond time of speed / torque test
- Speed / Torque control accuracy test
- Temperature rise test
- Reliability test
- E-drive verification and validation test
- Durability test
- Road simulation of E-drive validation test