66205は66200シリーズの第二世代デジタル電力計で、単チャンネルの電力測定アプリケーション向けに開発された製品です。高精度な電力測定を備え、IEC 62301/EN 50564規格に準拠した試験が可能です。66200シリーズの他製品に比べ、測定機能が強化され、電力測定アプリケーションの測定確度と信頼性を更に高めています。
スマートレンジ機能はパワーインテグレーションモードで自動でレンジ切換をしながらの電力測定を行い、動的あるいは不安定な電圧と電流を測定する中で、値の変化に伴いレンジが外れても自動的に適したレンジに切り換わることで、測定データを失うことなく、ギャップのない波形によるサンプリングと測定を実現します。
また、非常に幅広い電流測定範囲を備え、5mA~30Aまで10種類の測定レンジを持っています。60A~1200Aセンサー(オプション製品)を使用し、電流測定の範囲を拡張することも出来ます。
電圧測定範囲は15V~600Vまで6種類の測定レンジを持ち、オプション製品(A662023)を使用すれば、電圧範囲を1800Vまで高圧化できます。この幅広い測定レンジにより、低電力から高電力まで幅広い測定アプリケーションに対応します。電圧、電流、電力はそれぞれ0.05%レンジの測定誤差で、EnergyStarの待機電力テストに性能を発揮する最適な製品です。
66205はIEC 61000-4-7規格に基づく高調波測定にも対応しており、試験を中断することなく高調波を測定することができ、5Hzの周波数解析度とパケットハーモニック機能においてサブ高調波、内部高調波、高調波波形を高精度に測定します。
標準でGPIB、USB、RS-232のインターフェースを搭載し、オプションでLANを追加することが出来ます(工場出荷オプション)。製品をリモートコントロールのする際にはインターフェースを介してソフトパネルと組み合わせることにより、操作の簡易化とモニタリング及びテストレポート出力環境を容易に構築することができます。ストア機能を使用して測定値を記録したり、記録データをUSBに保存することもできます。またリミット値を設定することで生産ライン試験に対応でき、電圧、電流、電力等の測定パラメータに対し、上限と下限値のOK/NGの判断を行うことで良品の判別できます。さらにI/Oポートと組み合わせることで自動生産ラインにような工程時間の短縮を目指すことも可能です。66205は多彩かつ高精度測定機能により研究開発、品質保証検査、生産部門の電気特性関連パラメータの測定ニーズに満たした最適の1台です。
測定パラメータ
測定パラメータ:Vrms、Vpaak+、Vpeak-、V_harmonic、V_THD、CFV 、Irms、Ipeak+、Ipeak-、I_harmonic、I_THD、Is(Inrush current) 、CFI 、W、VA、VAR、PF、Freq_V 、Freq_I 、Wh、Ah、º (位相角)
パラメータ測定方法:一定時間内に連続移動したギャップのない読取幅に対し測定可能な全ての値の平均。
(※注意;フレームの時間は読取値測定間隔×AVG(平均値)です。)
ラインフィルタ機能
ラインフィルタ機能は高減衰率を備えたデジタルローパスフィルタです(≥70dB)。ラインフィルタを設定した場合、測定値には高調波成分は含まれません。 例: スイッチング電源の高調波ノイズ部分に対して3組のラインフィルタを設定、カットオフ周波数はOFF、500Hzと5500Hzです。5500HzのラインフィルタはIEC 61000-3-2規格を満たしています。
高調波測定機能(IECモード)
高調波測定機能はIEC 61000-4-7基準の高調波測定規格に基づいて設計されており、66205のTHD測定データとIEC 61000-4-7認証アナライザの測定THDデータは一致します。66200ソフトパネルは、IEC 62301に準拠した待機電力測定とIEC 61000-3-2:2018に準拠したプレコンプライアンス試験のソリューションを提供し、規制遵守の簡易試験報告書を作成することができます。 |
高周波測定機能(表示)
高周波測定機能では前面パネルに各高周波の振幅と位相角を表示できます。以下は高周波標示機能の応用例です。
AC電源合成機能を使用し、基礎周波数50Hz時の電圧を220Vとし、第三次高調波を30度の位相角時の電圧22Vを設定します。66205は基礎周波数時かつ第三次高調波時に対応する電圧と位相角を表示できます。
▲ 66205は基礎周波数50Hz時の電圧220Vを表示できます。 |
▲ 第三次高調波に対応する電圧を表示 |
▲ 第三次高調波に対応する位相角を表示 |
スマートレンジ機能(パワーインテグレーションモードに応用)
通常の電力計では電圧または電流の変化をレンジを切り換えながら測定する場合、データの損失が起こります。66205のスマートレンジ機能はパワーインテグレーションモードで自動でレンジ切換をしながらの電力測定を行い、動的あるいは不安定な電圧と電流を測定、値の変化に伴いレンジが外れても自動的に切り換わることで、測定データを失うことなく、ギャップのない波形によるサンプリングと測定を実現します。
突入電流測定機能
66205は突入電流測定機能を備えており、特定電流レベル点Aを設定することで電流測定開始するか、外部TTL信号を使用して測定を開始できます。遅延時間設定も可能で、突入電流点Bを無視するのをサポートします。時間Tはディレイを設定した時に実際にキャプチャする波形時間です。以上の設定により、点Cをピーク電流として測定を可能にし、実際のアプリケーションでは測定物の入力側コンデンサがもたらす反応を避けることができます。 |
同期信号選択機能
66205は測定するための同期信号として電圧または電流を選択することができます。測定中の異なるデバイスでは、電圧または電流のいずれかの歪みがより大きい可能性があります。歪みの少ない信号側に測定に同期させると、電力測定の精度が改善されます。
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計測パラメーターのデータ保存機能
一度内部に保存した測定データを、USBホストインターフェース経由でUSBストレージデバイスに転送し(CSV形式)、その後のデータ解析を行うことも可能です。 |
高電圧(HV)測定機能
PVインバータ、PCS、ESSなど1000V以上の高電圧試験が必要な製品については、66205にオプションのアクセサリを装着することで、最大電圧測定条件1800V、周波数範囲(DC、47~63Hz)に対応することが可能です。
外部シャント機能
DUTの最大電圧が66205の測定範囲を超えた場合、外部シャントと電力計を組み合わせた測定を選択できます。外部シャントの抵抗値の設定では、設定範囲を0.0001m~99.999Ωまで設定できます。外部シャントはAC電源及びDC電源の測定にも応用できます。 |
DCCT機能
66205のCT機能は、CTまたはDCCTのいずれかの製品に対応しますが、CTは交流電流の測定にのみ使用でき、DCCTは交流と直流の両方の電流測定に対応することに注意してください。 電流変換比率は、対応するCTやDCCTの製品に記載されている比率を設定するだけです。 をご参照ください。
大電流測定(60A~1200A)ソリューションについては、66205オプションをご参照ください。
66200シリーズソフトパネル
66200シリーズは本体の操作だけではなく、ソフトウェアでのコントロールも可能です。USB、GPIB及びLANインターフェースを介して、電力計からのデータの読取、コントロールを行います。その他、電圧/電流波形の変化と時間とのグラフ作成、記録時間を設定し、長時間測定データの取得も可能です。また、IEC 61000-3-2高調波電流テストに準拠した試験を行うことも出来、DUTが高調波電流制限値の要求を満たしているかの確認ができます。更にEnergyStarに対応した電源効率テストソフトウェアは66205と電子負荷及びAC電源をシステムインテグレーションし、各種規格に基づいた設定をすることで、規格で決められた試験を自動的に行い、レポートを出力してくれるため、研究開発や品質保証における工数を削減することができます。