62000Dシリーズ 電力回生式プログラマブル双方向直流電源は2象限動作によって電源と電子負荷双方の役割を担うことができます。電気自動車の双方向車載充電器(BOBC)や双方向DC-DCコンバータ、DC-ACモータードライバなどの試験に対応しており、双方向の電力変換が必要なテストに最適です。さらにバッテリーを模擬した動作が可能なため、グリーンエネルギーのESSや太陽光発電・ハイブリッドインバータ、パワーコンディショナ、バッテリーなどの充放電の状態を測定できます。
62000Dシリーズは、直流電源だけではなく電子負荷としても使用でき、モータードライバの試験に最適です。双方向電源で電力回生も可能で、-90%~+90%の過渡応答時間は最小<1.5msです。
62000Dシリーズの双方向直流電源には、3Uおよび4Uの機種があります。3Uモデルは単一の装置で6kW/12kW/18kWの出力を提供し、4Uモデルは単一の装置で36kWまたは45kWの出力を提供します。どちらも非常に大容量出力性能を持っています。特に62000D-HLモデルは、二つの出力範囲を持っており、Highモード(2000V/60A/45kW)とLowモード(650V/180A/45kW)の両方の出力範囲を単一の装置でカバーします。一台で高電流でのフルパワーのテスト条件だけでなく、高電圧でのフルパワーのテスト条件も満たすことができ、電動車や充電ステーションの400Vおよび800Vの電池の測定範囲に適用します。
62000Dシリーズの双方向直流電源は、100ステップのプログラム設定を持ち、List Modeを使用して必要な出力波形をカスタマイズできます。さらに、高いスロープ制御機能を備えており、LV123やLV148などの一部の新エネルギー車両部品のテスト規格にも対応可能です。Chroma Softpanelソフトウェアインターフェースを使用することで、ユーザーはワンクリックで出力テストを操作することができます。
62000Dシリーズの3Uモデルは、200~480Vacの電圧入力に対応しています。一方、4Uモデルは380~480Vacの電圧入力に対応しており、アクティブPFC(力率改善回路)と低電流高調波歪みを特徴としています。特に高出力テスト環境では、電力コストの節約や電力システム構成の簡略化、テスト環境の温度を低下させます。これらの特性により、世界各地域の電力システムに適しており、複数の制御方法を選択することができます。USB/LAN/CAN/ GPIB通信インターフェースとアナログAPGインターフェース制御をサポートしており、2000VモデルではCAN FDもサポートしています。
電気自動車と電力変換測定アプリケーション
新エネルギーのPV/EV/燃料電池/バッテリーは伝統的なエネルギー(石炭、石油など)の代替として注目を浴びています。電気自動車の増加とESS/バッテリーのニーズは、分散型エネルギー貯蔵やマイクログリッドの急速なビジネス化を促進しています。電力変換機器は双方向設計になり、高効率かつ高電圧変換、高電力密度のバッテリーアプリケーションとの組み合わせ試験や、バッテリーシミュレータ(双方向電源)の測定、評価への需要が高まっています。
EVの広い普及に伴い、それに応じて充分な家庭用から商用、そして都市の充電インフラの需要がたかまっています。これは、5kWから30kWのスマートホーム充電/蓄電システムから、30kWから500kWの統合型商業用PV(太陽光発電)/蓄電/充電ステーション、さらには太陽光、風力、燃料電池などの再生可能エネルギー源と組み合わせた分散型の大規模MW(メガワット)級の蓄電システムまでの、スマートグリッドおよびエネルギー貯蔵システムのエコロジーをもたらしました。このような大電力システムは1500V~2000Vの高電圧系統へと進化しており、それに伴い関連する電源変換装置のバッテリー模擬装置も相応の電圧と電力が必要になります。 高出力変換装置(PCS、ESS、充電器、インバーターなど) の大電力電源変換装置に関するテスト装置の要件では、ユーザーは装置の小型化、軽量化、装置利用率、装置の組み合わせで多様な電源システムの柔軟なスケジューリングやシステム障害メンテナンス時間の影響を考慮する必要があります。62000D-HL双方向直流電源は、マスター/スレーブ並列制御を備えており、単体での並列操作が簡単で迅速です。これはラックに統合されており、ストリングインバーターテストに適します。複数のMPPT入力を個別に供給でき、また高電力入力にも素早く並列接続できるため、研究開発ラボや検証ユニット、生産ラインでの使用が便利です。 |
▲62450D-2000HL |
62000D-HLモデル、ワンボタンで切り替え、デュアル出力と高パワー密度の45kW@4UH設計
SiC半導体デバイスの成熟と充電基準電圧の上昇に伴い、EVの充電効率と航続距離を向上させるために、バッテリープラットフォームは400Vから800Vに進化しています。これにより、車両の電子制御システムであるBOBC、DC-DCコンバータ、電動駆動ユニットのMCU、インバータの電圧も同様に増加しています。テスト装置としては、定格出力の範囲内で400Vおよび800Vのプラットフォームをカバーできることが非常に重要です。
例えば、400Vおよび800Vの両方をサポートする22kWの車載充電器BOBCを考えると一般的な電圧範囲は200V〜900V、更にそれ以上になる場合があります。テスト装置は定格テストと過電圧(>130%)保護テストのマージンを考慮する必要があります。また、充電電流は通常、200V〜450Vの間で最大充電電流があり、電流のリップルピーク値や過電流(>120%-150%)保護試験範囲を考慮する必要があります。このような動作範囲では、ユーザーは1200V以上の高電圧を必要とする場合と、少なくとも120Aの大電流が必要になる場合があります。Chroma 62000D-HLの1台でこれらの要件を満たすことができます。
62000D-HL双方向直流電源は、1台の装置内で2つの超広帯域な出力範囲を備えています。 例えば62450D-2000HLでは、Highモードでは2000V/60A/45kW、Lowモードでは650V/180A/45kWの出力が可能です。ユーザーはテスト条件に応じて、必要なモードに簡単に切り替えることができ、高電圧条件または大電流のテスト項目を満たすことができます。このような広範囲の操作範囲により、Highモードでは高電圧の測定ポイントを満たすだけでなく、Lowモードの大電流を利用して2つのテスト対象物の長期信頼性テストなども可能です。
62000D-HLモデルは、1台の装置内で2つの出力範囲を持っています。ユーザーは前面パネルの操作画面にて一つのボタン操作で切り替えを完了するか、リモートコントロールにて1つの指令で切り替えを行うことができます。生産ラインの自動テストシステム(ATE)では、62450D-2000HLを1台使用するだけで、切り替え指令を送信してHighまたはLowモードを選択することで、2つの出力範囲の操作要件を満たすことができます。切り替えが完了すると、テスト指令を継続して実行することができ、ユーザーは装置の出力端でブリッジ接続治具を手動で取り付けたり取り外したりする必要がありません。クロマは、使用者が連続的にテストプロセスを実行できるようにし、手動での設置作業に伴うリスクを回避します。
電⼦負荷能⼒を持つ2 in 1の電⼒回⽣式双⽅向直流電源
62000Dシリーズは2象限動作の双方向電源設計で、動作範囲は正電圧/正電流と正電圧/負電流となっています。直流電源として使用できるだけではなく、直流電子負荷としても使用できます。さらに、系統に電力を回生することが可能で、変換効率は最大93%です。定電圧、定電流、定電力のモードで動作できる小型でエコな電源となっています。
EVの普及により、OBCはV2G(車両からグリッド)、V2L(車両から負荷)、およびV2H(車両から家庭)の充放電の双方向のニーズが生まれています。従来の方法では直流電源と直流電子負荷の2台の試験器をコントロール必要がありましたが、 62000D シリーズを直流電⼦負荷として定電圧(CV)、定電流(CC)、定電⼒(CP)モードで動作させることで、(1台の62000DでOBC の評価をすることが可能です。)
▲従来の電源&電子負荷と62000Dシリーズの双方向車載充電器接続イメージ
1800V高電圧パワーコンディショナ測定
パワーコンディショナ(PCS)は、バッテリーと電力システム間の電気エネルギー双方向を変換できるデバイスです。直流電圧は450Vから1500Vのものまでが開発されており、充放電、有効電力制御、無効電力調整とオフグリッドスイッチング機能を備えているものがあります。62000Dシリーズには、高電圧の62180D-1800モデル(1800V/40A/18kW)をラインアップしており、10台並列することで 1800V/400A/180kW出力が可能となり、電源及び電力回生式電子負荷としてはバッテリーシミュレータの代わりに使用できます。
高速過渡応答 < 1.5ms
62000Dシリーズは、2つ象限の間で電流を高速的に連続変換することができ、多様な双方向DC-DC/DC-ACバッテリー充電および放電測定に対応できます。62000Dシリーズは、電流応答速度は<1.5ms(-90%〜+90%)の⾼速過渡応答であり、安定した電源試験を可 能にします。
▲ 実際の走行状況の模擬
モータードライバからの電力について実運転におけるアクセルとブレーキ動作では、高度なコントロールシステムによってバッテリーを高速で充放電を行い、電力変換をしています。62000Dシリーズは高速過渡応答能力によって、実運転におけるモーターの電力変換に追随することが可能なので、安定した実運転模擬(ドライブサイクルシミュレーション)試験を行うことができます。
▲ 自動車起動システム モータードライバテストアプリケーション
バッテリーシミュレータ機能
62000Dは、バッテリーシミュレータソフトウエア (Battery Simulator SoftPanel) と組み合わせ、バッテリーシミュレータとして使用することが可能です。その際には、異なったSOC条件の設定、もしくは電池特性(V-I曲線)のダウンロードを行います。本機能により、異なった容量の電池や異なった電池特性にて、製品の評価を行うことが可能です。そのため、62000Dは車載充電器やモータ駆動装置などの製品の試験に適しています。
ソーラーバッテリー並列シミュレーションI-V曲線ファンクション(オプション)
モデル62180D-1800にはソーラーバッテリー並列シミュレーション機能のオプションがあります。装置にEN50530とSandiaのSASモデルが組み込まれ、ユーザーはフロントパネルの操作やリモートコントロール(SCPI)を介して使用できます。ソフトウエアには静的および動的な最大電力点追従(MPPT)試験、日陰のI-V曲線シミュレーション、実際の天候のIV曲線シミュレーション、自動プログラムによる静的および動的MPPT機能試験を行うことができ、また、Excel形式でレポートを自動生成します。これらは、太陽光発電インバーター機能の検証に非常に適しています。さらに、62180D-1800(1800V / 40A / 18kW)モデルは、30台のマスター/スレーブ並列接続をサポート可能で、その際の出力仕様は最大540kW / 1800V / 1200Aとなります。そのため、高電圧1500V商用(15-100kW)ストリングインバーターと分散型発電所用(150-500kW)インバーターに最適です。
LV123/LV148規格準拠の予備試験に対応
62000Dシリーズのソフトパネルは自動車試験規格であるLV123とLV148の試験項目の一部と同等の試験を実行できるため、予備試験に活用できます。さらに、62000Dは最速200V/msの高速スルーレート設定が可能なため、多くの国際規格準拠の予備試験に応用することが可能です。また、Chroma SoftPanel(ソフトウェア)との組み合わせでユーザーはワンクリックの操作で出力試験を行うことが可能です。
系統保護機能
62000D双方向直流電源は、エネルギー回収機能を備えており、グリッドへエネルギー回生が可能です。入力電圧異常や周波数異常の検出や、電源設備が異常を検出した場合、自ら出力レベルをオフにしてグリッドとの接続の安全な使用を確保します。また、62000Dには、OVP、OCP、OPP、OTP、AC異常検出、ファン異常などを検知する保護機能を備えています。その内、交流入力異常保護として、過電圧保護(OVP)、低電圧保護(UVP)、三相不均衡(Unbalance)、グリッド周波数異常(Freq. Error)、過電流保護(OCP)などがあります。
広範囲出⼒
11kWのBOBC車載充電器のテストでは、最大電流リップルや車両のDC-DCスタートアップ時に発生する突入電流などを考慮すると、テスト機器は定常充電電流仕様を超える約20%〜50%の電流マージンを持つ必要があります。その為、Chroma 62120D-1200および62180D-1200では、環境温度条件および特定のバージョンで電流能力をさらに強化し、出力範囲を1200V/55A/13kW〜19.5kWに拡張しました。
ストリングPVインバータの試験用途では、1.5倍の過剰寸法を含む家庭用から商業用までの電力需要をカバーするために、MPPTチャネル当たりの最大短絡電流が徐々に増加しています。この需要に対応するため、MPPTチャネルあたりの供給電流も増加します。Chroma 62180D-1800では、電圧は1100V、1500Vに対応し、電流は55Aに向上しています。環境温度条件および特定のバージョンで出力範囲は1800V/55A/19.5kWに達します。関連条件については、仕様書を参照してください。
ハイパワーシステム総合ソリューション
Chromaは、54kW〜540kW/1800V/1200Aの高出力双方向電源システム統合サービスを提供します。この電源システムには、複数の安全保護をもっており(AC Breakerには、過電流保護、漏れ電流検出保護、緊急停止ボタン、入力電圧の、過電圧、低電圧、OFP、UFP、システム過熱、ファンの故障など)、開発および生産ラインの長期テストに最適です。
*62180D-1200 & 62180D-1800モデルは30台まで並列、540kW対応 *62360D-2000HL & 62450D-2000HLモデルの並列は弊社にお問い合わせください。 |
定格入力:三相200VAC~480VAC
優れたPFCにより、省エネルギーかつ高効率に設計されており、定格入力は三相200~220Vacと380~480Vacで各国の電源規格に対応しており、グローバルな使用も可能です。(輸出入においては各国の法令を遵守した後、使用環境の確認をお願いします。)
*三相200VAC~220VACで使用する場合、定格容量が制限されます。詳しくはカタログをご確認ください。
* 62360D-2000HL & 62450D-2000HLモデルの定格入力は三相380~480Vacです。
通信インターフェースRemote Interfaces
様々な通信インターフェースに対応しており、標準でUSB、LANを搭載、オプションでCAN/GPIBインターフェースを追加することができます。自動車業界で使用するCANは2.0A&B規格、11-bit/29-bitsに対応、V/I/Pパラメータを最小10msで取得できます。
タッチパネルインターフェース
ソフト画面
フロントパネル、もしくはソフトパネル(ソフトウエア)を介して62000Dを制御することが可能です。このソフトパネルは、ユーザーフレンドリーなソフトウエアであり、62000Dのすべてのシリーズの制御を簡易に行うことが可能です。また、62000Dシリーズの通信インターフェースには、GPIB、USB、Ethernet、さまざまな通信インターフェースを用意しており、ユーザーはリモートコントロールやオートメーションテストシステムに対して、これらのインターフェースを使用して制御することが可能です。