電池実験室では毎日多くのテスト業務が行われています。充電池の応用範囲が拡大するにつれて、電池はより多様な使用シナリオに適応する必要があります。これに対応するため、電池実験室は充放電試験装置の種類と数量を増やし続けています。多くの電池実験室では、従来の単体独立型（スタンドアロン）の充放電試験機を使用していますが、装置の種類や数量が増えると、使用や管理に関する問題が生じます。特に、テストレシピの管理において、バージョンの一貫性を維持し、保守の利便性を確保することは技術者にとっての悩みの種となっています。
電池試験は、電池の安定性や性能を確認するために長時間かかることが多く、試験担当者は現場に頻繁に足を運んで試験の進捗状況を確認し、適切な対応を行う必要があります。試験中に電池の試験状況を便利に観察し、実験室全体の装置の動作を随時把握できることは、試験担当者が現場に行き来する時間を減らすことができます。
Chroma 17091 電池遠隔モニタリングシステム（BTMS）は、電池実験室の試験装置を管理する上位システムであり、レシピ管理や便利な試験監視をサポートすることで、実験室の装置使用の利便性と試験作業の効率を向上させることに重点を置いています。ユーザーはブラウザを使って Chroma 17091 BTMS サービスに接続し、操作を行います。これにより、クライアント側でのインストールやメンテナンスが容易になり、レシピや被試験物情報、ユーザーのアカウントおよび権限を一括管理することで、各試験システムを個別に保守する際の煩わしさを改善します。
さらに、Chroma 17091 BTMS のリアルタイム監視機能を活用すれば、ユーザーは座席や中央管理室から遠隔で試験の進行状況を監視し、実験室全体の充放電装置や恒温槽の動作状況をいつでも把握することができます。装置のグループ管理や統計機能により、各装置の容量や使用状況をより明確に把握することができ、実験室の装置計画や配置に役立つデータを提供します。
従来の実験室では、テストレシピが各テストシステムに保存されており、エンジニアはどのワークステーションにレシピが保存されているかを把握し、そのワークステーションでテスト作業を行う必要がありました。しかし、Chroma 17091 BTMS の接続モードでは、ユーザーは指定された編集ワークステーションでレシピを編集し、BTMS に集中保存できます。ユーザーは他のワークステーションから、BTMS に保存されたレシピを選択してダウンロードし、テストを実行することが可能です。
Chroma 17091 BTMS では、標準レシピライブラリ（recipe library）の概念も提供しており、ユーザーは実験室のテスト規範を標準レシピとして作成し、新しいレシピを作成する際のテンプレートとして利用できます。このレシピライブラリを活用することで、実験室のテスト規範を実現し、知識や経験の継承を促進します。
Chroma 17091 BTMS は設備グルーピング管理のメカニズムを提供しており、ユーザーは装置のモデルや仕様、用途に基づいて、テスト装置を異なるグループに分類します。これにより、実験室の装置配置や使用状況の参考とすることができます。同じグループに属する装置は、同一のレシピを使用して同様のテスト作業を実行できることを意味します。
この装置グループの区分は、レシピ一括管理の仕組みにも反映されます。Chroma 17091 BTMS では、レシピを保存する際に、どの装置グループに適用可能かも一緒に記録されます。そして、同じグループに属する装置のみが、そのレシピをダウンロードしてテスト作業を実行することが許可されます。
さらに、Chroma 17091 BTMS は装置グループを基にダッシュボードで使用状況の統計を表示します。これにより、各グループにおける使用中、アイドル状態、異常、保護状態などの異なるステータスにおけるチャネル数を視覚的に把握することができます。
Chroma 17091 BTMS の接続モードでは、電池の充放電試験システムが起動プロセスを完了し、遠隔監視状態に入ると、BTMS に対して継続的にチャンネルの状態を報告します。BTMS は、この報告記録をもとに、ユーザーが遠隔で装置のチャンネルの動作状況や、電流 (I)、電圧 (V)、温度 (T) などの重要な測定値を確認できるようにします。 遠隔で異常を発見し、実行中のチャンネルに対して一時停止、再開、または停止などの操作が必要な場合、ユーザーは遠隔制御インターフェースを通じて、指定された装置に制御命令を送信できます。また、遠隔で全ての温度制御ボックスの温度や湿度の状態を監視することができ、遠隔制御が可能な温度制御ボックスに対しては、温湿度の目標値を設定することも可能です。
Chroma 17091 BTMS は、テスト装置から報告されたチャンネル状態を集約し、リアルタイムで監視ダッシュボードに表示します。管理者は各充放電システムおよび恒温槽の使用状況を明確に確認でき、装置やチャンネルの使用状況の統計を把握できます。装置に異常が発生した場合、ダッシュボードは迅速にアラートメッセージを表示し、音声によるアラートも発します。
Chroma 17091 BTMS は、以下の六種類のモニタリング機能を提供します：
① 装置状態表示
② 装置/チャンネル状態の円グラフ
③ 恒温槽の温度･湿度表示
④ グループチャンネル状態テーブル
⑤ 異常チャンネルリテーブル
⑥ 異常の記録
各実験室の装置配置や応用シナリオは異なるため、BTMS 導入時には、実験室の設備配置や利用ニーズに応じて、適切な監視ダッシュボードに調整することができます。これにより、視覚管理の手法を通じて、管理者が実験室全体の運営状況を迅速に把握することが可能になります。
▲ Real-Time Dashboard17010
システムのデフォルトの権限管理は、①管理者、②エンジニア、③作業員の三つの役割に分かれています。
システム管理者は、実験室の業務内容に基づいて異なる機能役割を定義し、それぞれのユーザーに対応する役割を付与できます。ユーザーは、ログイン検証を通じてシステムにアクセスし、ログイン後はユーザーの役割に応じて異なる機能メニューが表示されます。 機能権限の管理に加えて、Chroma 17091 BTMS はプロジェクト権限に関する規定も提供しており、ユーザーは所属するプロジェクトの業務にのみ参加したり、関連するテストデータを確認したりすることができます。
