63800シリーズは、無停電電源装置(UPS)、オフグリッド・インバータ、AC電源、スイッチ、ブレーカ、ヒューズ、コネクタなどのパワーデバイスのテストに適しています。
63800シリーズは、電圧波形が歪んでいる場合でも、リアルタイムで補正を行いながら、高いピークファクタや力率が変化する負荷条件をシミュレートすることができます。この機能により、実世界でのシミュレーションが可能となり、信頼性の高い偏りのないテスト結果を得ることができます。また、DSP技術を使用して、独自のRLC動作モードによって非線形整流負荷をシミュレーションできます。このモードでは、DUTのインピーダンスを検出し、負荷の制御帯域幅を動的に調整してシステムの安定性を確保します。
63800シリーズの包括的な測定機能により、DUTの出力特性をモニタリングすることができます。さらに電圧および電流信号はアナログ出力を介してオシロスコープで確認することができます。標準インターフェースのGPIBおよびRS-232は、システムインテグレーション用のリモートコントロールと測定データ転送に使用します。加えて、内蔵のデジタル出力は、短絡(crowbar)テスト用の外部リレーの制御にも使用できます。
保護機能として自己診断、OPP、OCP、OVP、OTPを持ち、優れたファン制御によって低騒音な製品となっています。
AC&DC負荷シミュレーション
63800シリーズはAC負荷、DC負荷双方に対応できるように設計されており、動作モードは下図の通りです。
AC負荷シミュレーション
63800シリーズはAC負荷シミュレーション用に動作モードを2つ有しています。
定負荷モード
定負荷モードでは、CC、CR、CPで動作させることができます。CCとCPモードでは、PFまたはCF、あるいはその両方を設定することができます。CRモードの場合、PFは常に1に設定されます。力率の範囲は、設定されたクレストファクターに基づいて制限されています(図1)。設定されたPFが正の場合は電流が電圧波形をリードし、PFが負に設定されている場合は電流が電圧波形をリードします。
整流負荷モード
整流負荷モードでは、幅広い試験アプリケーションの非線形整流負荷をシミュレーションできます。整流負荷モードではRLC、CP、突入(Inrush)モードで動作させることができます。図2は、整流器入力の典型的なモデルを示しています。RLCモードでは、RLC値を100%に設定し、実際のDUTの動作をシミュレーションすることができます。
▲ 図2: 整流モード回路 |
図3と図4は、63800シリーズのRLC負荷モードと実際のRLC回路の電圧と負荷波形を比較したものです。図5は同じ負荷条件でCCモードで得られた波形を示しています。63800シリーズは突入電流シミュレーション(図6)のために、突入電流(Inrush)モードを有しており、突入電流が開始された場所で異なる突入電流振幅と電圧位相角を設定することができます。
▲ 図3: Actual RLC Circuit |
▲ 図4: Simulated RLC Mode |
▲ 図5: CC Mode |
▲ 図6: Inrush Current Mode |
DC負荷シミュレーション
63800シリーズのDC負荷シミュレーションではCC、CR、CV、CPで動作させることができます。
CC、CR、CPモードは、定電圧電源のテストに使用できます。バッテリー充電器の場合、CVモードは電流レギュレーションをチェックするのに役立ちます。インバータの多くは入力がDCであるにもかかわらず、電流に整流パターンとなっています。63800シリーズは整流モードを持ち、燃料電池、PVモジュール/アレイ、バッテリーテストに適しています。
各種パラメータの包括的な測定
63800シリーズは、16bit精密測定回路を内蔵しており、真のRMS電圧、真のRMS電流、有効電力(P)、皮相電力(S)、無効電力(Q)、クレストファクタ、力率、THDv、繰り返しピーク電流の安定状態と過渡応答特性を測定します。これらの測定に加えて、外部オシロスコープを介してこれらの信号をモニタリングする手段として、電圧用と電流用の2つのアナログ出力が準備されています。
タイミング測定
タイミング測定は、UPSのブレーカやヒューズのような製品にとって重要なパラメータです。63800シリーズはヒューズ及びブレーカのトリップ時間やオフラインUPSトランスファー時間を測定するために独自のタイミング測定機能を含んでいます。
▲ 図7:オフラインUPSのトランスファー時間
自動帯域幅調整(Automatic Bandwidth Adjustment/ABA)
図8に示すようにDUTがより高い出力インピーダンスを持つ場合、帯域幅の調整なしでは電流波形は安定しません。負荷電流が振動しないよう自動帯域幅調整機能を使用することで、安定的な試験ができます。
▲ 図8: Fixed Bandwidth |
▲ 図9:自動帯域幅調整あり |
注記:インピーダンス検出用に定義された実際の負荷に優先してテスト電流が設定されます。 |
並列および三相運転
63800シリーズは、大電力および三相アプリケーション向けに並列および三相運転が可能です。並列運転は最大5台まで運用でき、各相に5台ずつ並列し、最大15台運用、大電力出力が可能です。
▲ Figure 10: Parallel connection |
▲ Figure 11: Parallel/3-Phase Y connection |
▲ Figure 12: Parallel/3-Phase Delta connection |