Chroma 8620 OBC(車載充電器)/DC-DCコンバータパワーHILテストベンチは、車載充電システムおよびパワートレインコンポーネントのテスト能力を備えています。プログラマブル直流電源、プログラマブル直流電子負荷、デジタルパワーメーター、オシロスコープなど、DUT(テスト対象デバイス)の仕様を満たすハードウェア構成を選択できます。さまざまなシステムアーキテクチャに対応し、プラットフォームの拡張や共有が可能というメリットがあります。
Chroma 8620は、車載充電器やDC-DCコンバータの研究開発用に特別に設計されたユニットです。マンマシン操作監視インターフェース、手動テスト機能、自動テスト機能、テストレポート自動作成機能を備えた柔軟性の高いソフトウェアが大量の繰り返しテストのニーズに対応し、テストのカバレッジと効率を向上させます。
Chroma 8620はAltair ActivateやModel Based車両モデルのロードに対応し、既存のモデルを引き続き利用できるため、再開発の手間と時間を節約する事ができます。また、CAN HS/FDおよびLIN通信インターフェースに対応し、DBCやLDFのテキストファイルをロードできます。
Chroma 8620は、DUTの実車環境における通常の走行状況をシミュレーションして検証する機能を備えています。また、通信異常、信号障害(Open Circuit/Short to Ground/Short to Battery/Pin- to-Pin Short)など、走行中の異常な状況もシミュレーションできるため、実車の充電プロセスまたは道路走行時に起こりうる危険を回避することができます。実車テストの前に実験室でシミュレーションテストを行うことで、実車で起こりうる事故を回避してリスクを軽減できるほか、自動車のテストで必要となる莫大なコストを削減できます。
自動車の開発プロセスとテストの要件に対応
Chroma 8620 OBC/DC-DCコンバータパワーHILテストベンチは、車両開発における機能安全のためのISO26262V-modelに基づくHILテストに対応しています。これは、V-modelの設計段階におけるOBCやDC-DCコンバータに関する故障モード、機能ハザード分析、潜在リスクに対応する機能を含みます。このベンチではさまざまな自動車動作状態をシミュレーションでき、車両試験に進む前に問題を早期発見し、エラーを修正することで、自動車安全水準ASIL(Automotive Safety Integrity Level)に関する認証を取得するのに役立ちます。また、周辺機器を拡張または交換することで、さまざまなテスト対象の仕様上の要件を満たすことができます。新しいプロジェクトにおいても既存のコンテンツを修正するだけでテストを実行でき、プロジェクトをゼロから作成する必要がなくなります。繰り返しの多いテストを自動化することで、長時間の手動テストで生じる作業員の疲労やテストプロセスにおけるミスを低減できます。また、自動車のテスト回数、開発コストが大幅に削減され、テストスケジュールを短縮しながら効率を向上させることができます。
Chroma 8620は独立したPLC監視システムを備え、システムソフトウェアや電力装置の動作状況をリアルタイムで監視し、エラーが発生した場合は、保護機構や警告機構が起動し、装置やテスト対象の損傷を防ぎます。柔軟なアーキテクチャソフトウェアプラットフォームを通じて、CAN HS/FD、LINの通信ファイルをロードし、リアルタイムシステム、電力装置、測定装置、車両モデルを組み合わせ、OBC/DC-DCコンバータのReal-Time動的テストを行います。手動テストや自動テストのプロセス実行時に、マンマシン操作監視画面や自動テストプロセスを柔軟に編集することができます。自動テストはASAM XILをインターフェース上位のテストソフトウェアとし、自動テストプログラムの完了後、変化と結果の確認に役立つレポートを自動的に作成します。テストプロセスにおいてテストデータの記録がTDMS、CVS、Text形式で保存され、テスト結果の分析に役立てることができます。
マンマシン操作監視画面および自動テストプロセスを新しいプロジェクトで繰り返し編集、複製、変更し、さまざまなDUTまたはプロジェクトに応用できます。また、自動テストプロセスでは使い慣れた言語であるLabVIEW、C/C++、Python、.NETを組み合わせてプロジェクト開発における柔軟性を高め、作業の重複を防いで開発効率を向上させることができます。
最適化されたテスト項目とマンマシン操作インターフェース
Chroma 8620はソフトウェアプラットフォームで自動テストの項目を編集できます。車載充電器/DC-DCコンバータの規制テストプロセスを編集できるほか、テスト対象の機能に対するパワーオン/オフ機能、正常/異常な通信機能、信号故障注入機能など、カスタマイズされたプログラミングにより、さまざまなシーケンス制御、時間変化、故障動作をシミュレートして全体的なテストカバレッジの強化できます。自動車ではすべて実施できないテストを実施することで、実車の走行時に人身事故を引き起こすエラーを回避し、事前にハザード分析とリスク評価を完了できます。
さらに、Chroma 8620はシステム統合に基づいた電力装置、測定装置、自動車数学モデルをカスタマイズされたマンマシンインターフェース(User Interface)に提供します。UIを通じたテスト操作とパラメータの変化、図表の表示、信号状態など、データコンテンツのリアルタイム観測により、テスト担当者の操作性、利便性、実行効率が向上します。
標準システムアーキテクチャ
Chroma 8620はカスタマイズされたニーズに応じたハードウェア構成に対応しています。標準構成のメインラックにスタンドアロンのコンピュータを配置できるほか、サブラックを組み合わせることで、テストサイトの配置スペースを最適化できます。